自分でできる! 株式会社設立 その2 定款認証編

 先日のブログで書いたように、私は27年間勤務した国家公務員を辞めました。
 今後は自分で株式会社を設立するのですが、前回までで株式会社設立のための事前準備を済ませました。詳しくは自分でできる! 株式会社設立 その1 事前準備編をご覧ください。
 事前準備が済んだので、いよいよこれからが本番です。今回は定款認証について説明したいと思います。
定款認証

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定款とは?

定款とは?
 定款とは、会社が組織として成立するための大切な規約をまとめてもので、定款の作成により公証役場と法務局での手続きをクリアできるとともに、会社絡みの金銭的なトラブルを防止するものです。
 記載内容について以下に書いていきます。

必ず記載する事項

 会社法27条では、「株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。」となっています。その記載事項は、
 1 目的
 2 商号
 3 本店の所在地
 4 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
 5 発起人の氏名又は名称及び住所
 となっています。よって上記の5つの事項は定款には必ず記載しないといけません。

該当すれば記載する事項

 会社法28条では、「株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。」となっています。その記載事項は、
 1 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第三十二条第一項第一号において同じ。)
 2 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
 3 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
 4 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)
 となっています。ちょっと分かりづらいのですが、簡単にまとめると上の表のようになります。上記の事項は、該当があれば記載しないといけません。

記載しなくてもよい事項

 会社法29条では、「第二十七条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。」となっています。
 上記の事項は、特に記載しなく構わない任意的な記載事項って感じですかね。

定款の作成方法

 定款の作成については、会社法26条に「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。」とありますが、続く26条2に「前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。」とあるように決められた電子署名をすることにより、電子定款にすることができます。
 それではその作成方法なんですが、大きく分けて下の2つの方法があります。

専門家へ依頼

 やっぱり一番安心で確実なのは、専門家にお願いする方法です。
 定款作成は行政書士さんにお願いできるようですが、作成費用で2~5万円程度の金額が必要のようです。

自分で作成

 完全に自分で作成する方法もありますが、かなりハードルは高いと思います。電子署名なんて、普通は分かりませんよね。
 会社設立ソフト等を利用して、自分で作成するのが普通だと思います。

私が選んだ定款の作成方法

 前にも書きましたが、私が選んだ会社設立ソフトは、マネーフォワード会社設立です。

 今後使っていく会計ソフトを基準に選んでいくと、free、マネーフォワード、弥生会計の3つに絞られたんですが、私が選んだ決め手は、クラウトサービスなので通信環境さえあれば、どこでも利用できることと、補助科目が登録できることです。27年間も共済組合業務をやってきたので、少しは簿記も理解できます。

定款作成

 ここからは、マネーフォワード会社設立を使っての定款認証の流れを説明したいと思います。
マネーフォワード会社設立を使って定款作成
 トップ画面は上図の左のようになっています。これを上からやっていけば大丈夫です。

 まずは、下図の会社設立に必要な情報の入力横の手続きを進めるをクリックします。
入力画面
 以降はそれぞれの項目を入力していきます。

会社名と所在地

入力画面
 上の画面から、下記の事項を入力していきます。
 ・ 会社形態
   株式会社or合同会社
 ・ 法人形態
   株式会社〇〇にするか、〇〇株式会社にするか。
 ・ 会社名
   会社名はなんでもいいですが覚えやすい会社名がいいと思います。
   同じ名前の会社がないかは法人番号公表サイトで検索できます。
 ・ 会社名(カナ)
 ・ 会社の本店所在地
 ・ 連絡先
 特に難しいことはありませんが、会社名は覚えやすく、他とは違った名前が良いと思います。

代表と出資金

入力画面
 上の画面から代表者の情報を入力していきます。
 ・ 役職
   代表取締役、取締役等
 ・ 姓名
 ・ 姓名(カナ)
 ・ 生年月日
 ・ 住所
   会社の住所と同じ場合は、会社の住所と同じをクリックします。
 ・ 出資金額
   出資金額を入力します。
 ここも特に難しいことはありません。会社設立時の取締役等が複数にいる場合は、下の方の役員株主を追加するをクリックすると追加できます。

事業目的

入力画面
 上の画面から事業目的を入力します。
 事業内容を選択し事業目的を追加するをクリックすると、下に事業目的が追加されていきます。一つだけではなく、今後やとうろ思っている事業があれば複数入力した方が良いようです。
 ここで選んだ事業内容によっては、古物商等の免許等が必要になる場合もあるので、その取得も考えておきましょう。

資本金と決算

入力画面
 上の画面から入力していきます。
 資本金の合計金額と内訳は、代表者と出資金で入力した情報が反映されている筈です。それにプラスして以下の情報を入力していきます。
 ・ 一株あたりの株価
   今までに入力した代表者等の出資金を割り切れる金額を入力します。一般的に10,000円が多いそうです。
 ・ 発行可能株式数
 ・ 株式の譲渡
   株式を譲渡する場合に、株主総会の承認が必要か代表取締役の承認が必要かを入力します。
 ・ 取締役の任期
   最長10年
 ・ 決算月を決める
   通常は、会社設立日の属する月の前月となります。
 ・ 広告の方法
   広告の方法を、官報、マネーフォワードの電子公告サービス、自分で準備するから選びます。
   自分で準備する場合には、広告を掲載するURLも入力します。

内容の確認

内容の確認
 上の画面で今までに入力した内容を確認します。
 この中の代表者情報欄に必要となる書類及び必要部数が記載されているので確認します。通常は、印鑑証明書が2通と写真付身分証明書の写しが1通だと思います。
 各項目の記載内容がもし間違っていた場合には、修正するをクリックして修正することができます。
 全て大丈夫だったら、会社設立に必要な情報の入力は完了です。

定款認証

 基本情報の入力は終わりました。元のトップ画面に戻ります。
会社設立トップ
 会社設立手続きの横の内容を確認するをクリックして進んでいきます。

印鑑の購入

印鑑購入
 まずは印鑑購入画面へと進みます。  ここで購入する事も出来るのですが、私は楽天市場で下の印鑑を購入しました。


 それほど高価な印鑑でなくとも、これくらいで充分だと思います。

定款の作成

定款の作成
 次は上の画面に進みます。定款の作成方法は大きく分けて紙定款と電子定款があります。
 ここでは次の3つほ方法から選ぶことができます。
 ・ 電子定款(手数料0円)
   マネーフォワードの有料プランに登録
   こちらから登録するをクリックして登録すると無料で電子定款を作成できます。
 ・ 電子定款(手数料5,000円)
   マネーフォワードには登録せずに、手数料5,000円を支払って作成します。
 ・ 紙定款(手数料0円 印紙代40,000円)
 私はマネーフォワードで会計処理をすることを決めていたので、手数料無料で電子定款を作成できました。
 紙定款なら自分でもできると思いますが、印紙代が40,000円もかかるので、敢えて選択する必要はないと思います。

定款の準備

定款の準備
 上の画面になります。下記の事項を確認していきます。
 ・ 受取場所
   最寄りの公証役場が定款の受取場所で選択されていると思います。選択されていない場合は選択し直します。
定款確認
 ・ 定款作成日
   そのままの日付で大丈夫だと思います。
 ・ 定款を開く
   定款を開をクリックし、内容を確認します。
   内容に間違いなければ、定款の内容を確認したにチェックを入れて次へ進みます

 もし間違いに気付かなくても、後から修正できるので安心して下さい。

証明書の準備

証明書アップロード
 発起人の必要書類をアップロードします。必要となるのは下記の書類です。
 ・ 印鑑証明書
 ・ 写真付きの身分証明書
   私はマイナンバーカードを使用しました。
 それぞれの書類のアップロードをクリックすると、データーが送信されます。
 この際、発起人の氏名住所と印鑑証明書の氏名住所が一致しているか確認します。
 更に、この印鑑証明書の氏名住所と定款記載の氏名住所も一致する必要があります。
行政書士に依頼
 確認できたら、行政書士に依頼するをクリックします。これをクリックすることにより、マネーフォワード提携の行政書士さんにデーターが届くようです。

定款の作成の流れ

行政書士とのやりとり
 先ほど行政書士に依頼するをクリックしたことにより、行政書士さんにデーターは届きますので、すぐに折り返しのメールが届きます。
 そのメールの中にお申込みフォームの送信についてと記載されている項目があるので、リンクをクリックし、質問事項に回答してフォームを送信します。
 私は4月19日(火)に上記の事項を完了しました。

 私の場合はフォームを送信した翌日の4月20日(水)の16:24に行政書士さんから返信がきました。
 内容は、「電子定款作成完了の報告まで、5営業日(土日祝日を除く)いただいており、4月26日(火)に定款を納品させていただける見込みです。弊社から定款納品後に、お客様に公証役場で定款認証(定款受取)していただきます。公証役場と弊社との事前打合せとあわせて、認証日(定款受取日)の予約をお取りいたします。4月27日(水)以降の日時で、必ず複数日ご指定ください。 (土日祝日はお休みです)(時間帯:12時~13時は不可、9時~16時の間でご指定ください)」とのことでした。
 また、下記の確認事項がありました。
 ・ 事業目的
   許認可等が必要な事業目的があります。
 ・ 設立時期
   5月1日以降でお願いします。
 ・ 発起人住所
   印鑑証明書の住所と相違があります。(丁目、番地、号、-(ハイフン)等
   行政書士さんが修正してくれるそうです。
 ・ 会社の住所
   発起人住所と同じ内容ですが、特に修正の必要はなし。
  とありました。私は翌4月21日(木)の9:30に返信しました。内容は、
 ・ 公証役場での受取希望
   第一希望:4月27日(水) 第二希望:4月28日(木) 時間希望なし
 ・ 事業目的
   自分で許可申請を行います。
 ・ 設立時期
   5月2日が目標です。
 ・ 発起人住所
   印鑑証明書どおりで理解しました。
 ・ 会社住所
   印鑑証明書どおりで理解しました。
 すぐに返信がきました。時間は9:55です。
 内容は、公証役場の予約は4月27日(水)11:00からということと、会社住所を修正したい場合には自分で行って下さいとのことでした。
 すぐに会社住所を自分で修正しました。

 4月26日14:03にメールで定款が納品されました。
 メルの中に定款作成の流れの一番したにある「定款作成が完了しました」をクリックするよう指示がありました。これにより必要な書類をダウンロードすることができます。
 また、受取に際しての注意事項等も細かく書いてありましたよ。
 また、一応前日に公証役場に電話して予約の確認をしましたよ。

定款受取

定款受取
 上の画面のように最寄りの公証役場が表示されていると思います。
 この画面の内容に沿って説明します。

定款の編綴

 まずメールで送られてきた定款本文を印刷します。
 次に委任状をダウンロードして印刷します。
 いよいよ定款を綴じる作業です。
 まず、書類の綴じ方をクリックします。
 すると、綴じ方の図があるので、このとおりに作業します。
 1 委任状→定款の順に並べる
 2 ホッチキスで2ヵ所止め
 3 ホッチキス側を製本テープで製本(製本テープを使用する場合のみ)
 4 委任状の発起人の部分及び上部余白に発起人全員が押印
 5 全ページに発起人全員が割印を押印
 6 表紙及び最背面の製本テープとの境目に発起人全員が押印(製本テープを使用する場合のみ)
 いよいよこれで定款の編綴作業が終わりました。ただし、この1部は公証役場に提出することになるので、控が必要な場合は、同じようにもう1部作成しておきましょう。
 私は製本テープを使用しましたが、ホッチキス止めだけでも大丈夫です。何故製本テープを使用したかというと、出来上がりが綺麗だからです。
 また、製本テープには契約書割印用の製本テープがあるので、それを使用すると更に出来上がりが綺麗になります。そこまでする必要は無いのかも知れませんが、27年間公務員として勤務してきた性なんですかね~。

定款の受取

 さあ、定款の受取です。下記の持ち物を忘れないようにしましょう!
 ・ 編綴した定款及び委任状
 ・ 受取人本人の写真付きの身分証明書
 ・ 受取人の印鑑
 ・ 未使用のCD-R
 ・ 発起人全員の印鑑証明書  ・ 現金42,000円  持ち物は以上ですが、持ち出し可能なら、発起人全員の実印も念のために持って行きましょう。

 私は最寄りの筑紫公証役場に車で行きました。15分程前に到着して5分前に受付へ。
 名前を告げて必要書類を提出。暫くすると名前を呼ばれて受付に行き、公証人の方から色々と説明がありました。最後に法務局に提出用の定款とCD-Rを受領して42,000円を支払いました。
 時間としては、20分程度だったでしょうか。
 かなり気合を入れて受け取りに行った割には意外にあっけなく終わりましたが、これで定款認証は完了しました。
定款受取
 受け取ったらクリックしましょう!

定款認証まとめ

 私は株式会社設立についてかなり調べました。
 でも、合同会社を自分で作った記事や動画はあっても、株式会社に関する事を詳しく説明した記事や動画はありませんでした。特に今回の定款認証に関しては、合同会社においては必要ではないのですが株式会社においては必要となるため、他の方の記事や動画を見ても定款認証に関しては出てきませんでした。
 実際に自分でやってみた感想としては、全て独力でやっても何とかなりそうな気はします。ただ電子署名という課題をクリアしないといけませんよね~。
 でも、これは一度やってみたからこそ言える事であって、やっぱり会社設立ソフトを使うのがおすすめだと思います。安心感が違いますよね。しかも無料ですもんね。
会社設立終了画面
 今回は、マネーフォワード会社設立を利用しての定款作成~受取までを定款認証編という事で作成しました。
 次回はいよいよ法人設立登記へと進みます!

 この記事が、少しでも株式会社設立の参考になれば幸いです。

 youtube動画を作成しました。興味のある方はご覧下さい。
定款認証

 

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