先日のBLOGで書いたように、私は27年間勤務した国家公務員を辞めました。
で、辞めてこの後どうするの?ってことを書きたいと思います。
結論から書くと、独立して株式会社を設立しました。
まず今回はその1事前準備編です。
国家公務員を早期退職して今後何をするのか?
やっと仕事から解放されたので、のんびりと日本一周でもしたいところですが、我が家にはそんな余裕はありません。
で、今後どうするかを考えると、大きく分けて下記の3つのパターンがあると思います。
再就職
まずは再就職ですね。多くの方がこの再就職を選ぶと思います。
私が勤務していた〇〇省では、早期退職を希望するにあたって再就職の斡旋を申し込めるのですが、私は申し込みませんでした。
せっかく仕事から解放されたのに、すぐに再就職する気にはなれなかったし、再び人に使われる仕事に戻ったら、それが嫌で早期退職した意味がないですもんね。
という訳で、すぐに再就職をする気はありません。
無職
次に考えられるのは、暫く仕事をせずにのんびりとする事も含めての無職ですかね。
本当は暫くのんびりと過ごしたかったのです・・・。本当はのんびりと日本一周の旅でもしたかったのですが・・・。
何かをやるなら少しでも早い方が良いと思い、のんびり過ごすという考えを捨てました。両学長が言う「今日が人生で一番若い日です。」ってことですね~。
独立
もうお分かりでしょうが、私は独立の道を選びました。
本当は昔から「鶏口となるも牛後となるなかれ」という言葉が好きで、牛のような大きな集団の後ろについて行くよりも、鶏のような小さな集団でも良いので先頭に立ちたいタイプなんですよね~。
協調性が無いと言えば、それまでですが・・・。
そう考えると、今まで働いていた国家公務員は真逆の生き方だったんですね~。
個人事業主と法人の違い
次は独立の形態をどうするかです。個人事業主にするのか、法人を設立するのかですが、下記のようにそれぞれの違いを考えたいと思います。
手続き
やはり開業等の手続きは個人事業主の方が色々な面で簡単だと思います。
個人事業主の開業届の手続きは、「書類に必要事項を記載して税務署に提出する」だけです
それが法人の場合となると、法人登記だけを考えても申請から登記完了までに2週間程の期間が必要となります。また、登記申請前に定款の認証も必要だし、設立後にも下記の届出が必要となります。
【税務署】
法人設立届(法人設立後2ヵ月以内)
青色申告の承認申請書(法人設立後3ヵ月経過、あるいは最初の事業年度終了日のいずれか早い方の前日)
給与支払い事務所等の開設届出書(給与支払い開始の1ヵ月以内)
源泉所得税の「納期の特例の承認」に関する申請書(特例を受ける月の前月末)
【自治体】
法人設立届書(自治体によって届け先、期限が異なりますが、県税事務所と市町村役場だと思います。)
【年金事務所(社員がいる場合は加入義務/設立後5日以内)】
健康保険・厚生年金保険の新規適用届(健康・厚生年金保険の適用事業所となる届出)
被保険者資格取得届(健康・厚生年金保険の被保険者となる届出)
被扶養者(異動)届(被扶養者がいる場合のみ)
の提出が必要です。
※一人社長でも、新規適用届及び資格取得届は必要です。
※雇用者がいる場合/雇用後10日以内に労働基準監督署・公共職業安定所への届出が必要です。
※役員のみの場合は、労働・雇用保険には該当しません。
税金
毎年の決算によって、個人事業主は所得税、法人は法人税を納めることとなります。
その際、売上等の利益から必要経費を差し引いて算出するのですが、法人になると、個人事業主よりも必要経費にできる項目が大きく増えます。
個人事業主の経費項目はそのまま法人にもあてはめることができますが、法人では更に経営者本人、家族従業員への給料や、生命保険料、住宅賃料(社宅など)、出張費や休日出勤の日当なども経費として計上することができます。
そのため、個人事業主よりも法人の方が経費計上による節税には有利だと考えられます。
また、所得に対する税率に関しても、個人事業主は所得に応じて所得税の税率が5%~45%なのですが、法人の場合の法人税の税率は15%~23.4%となります。
逆に住民税に関しては、法人の方が高く、自治体によって違いますが最低でも7万円は必要となります。
※ よく所得が900万円を超えたら法人化した方が良いと言われますが、日本の所得税は累進課税だからだと思います。年間所得の金額に応じて税率が上がっていくので、年間所得900万円までは税率23%です。これは法人税の最高税率とほぼ同じです。でも、900万円を超えると一気に税率が33%へと跳ね上がり、法人税の税率の方が安くなっちゃうんですよね~。
年間所得が900万円を超えないなら法人化しても意味はないという方も多いのですが、国民健康保険料なんかを考えると一概にはそうとも言えない気がします。逆に年間所得900万円を超えたら法人化しなと勿体ないってかんじですかね。まあ、個人的な意見ですが・・・。
社会的信用
個人事業主でも、開業届を出しているかいないかは大きな違いです。開業届を出して青色申告までするとなると、確定申告のための複式簿記の知識や税金などの経理的な知識も必要ですが、それらの事項を行う事により社会的な信用も増します。
私も公務員時代に、契約業務で個人事業主の方と契約をしていましたが、確定申告の書類等を提出してもらって信用状況を確認していました。勿論規則上も提出してもらうようになってます。
これが法人になると、設立と登記のハードルはさらに高く複雑です。安定的に法人を維持できていれば社会的信用はさらに得られるようになります。
金融機関からの融資が受けやすくなったり、法人でないと取引ができない企業とも取引が可能になるため、事業の選択肢が増えると考えられますね。
法人の形態
私の知る限り、現在非営利法人を除いて一般的に法人として設立できるのは、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社でしょうか。また、昔は有限会社という形態がありましたが、現在は設立することはできません。
株式会社と合同会社の比較
一番メジャーな株式会社と合同会社を比較してみます。
組織の比較
組織の違いを簡単な表にしてみました。
個人的には、代表者の名称に大きな違いがあると思います。私は代表取締役の方が好みです。
設立に必要な費用の比較
設立に必要な費用を簡単な表にしてみました。
合同会社と比べると、株式会社の方が3倍以上費用がかかりますね・・・。
ただ、下記の方法で登録免許税は半額にすることができます。
事前に決めておくべき事
法人を設立するにあたり、下記の事項は事前に決めておいて下さい。
会社名
何という会社名にするのかはもちろんですが、〇〇株式会社にするのか?株式会社〇〇にするのかも決めなければいけません。
株式会社を前にもってくるか後にもってくるかですが、定款の作成までには決めておかなければいけません。
会社名はなんでもいいですが覚えやすい会社名がいいと思います。同じ名前の会社がないかは法人番号公表サイトで検索できます。
資本金の額
確かに法律上は1円から設立する事は出来るのですが、実際には現実てきではありません。1円では仕入れも何もできませんもんね。
私は資本金を100万円にしましたが、もう少し多い方が良かったと思います。ただし、300万円を超えると定款認証料が上がるので、100万円以上300万円未満がお勧めです。
会社が行う業務
会社の事業目的ついても定款に記載が必要なため、早めに決めておいた方が良いです。あまり多すぎてもいけませんが、業務の中心となる事項はきちんと記載しましょう。
業務によっては、古物商等の免許が必要な場合があります。
会社設立日
法務局に登記申請を行った日が会社設立日となります。大安なんかの縁起等を気にする方は特に注意が必要です。登記申請を行う日から逆算して、定款認証等を確実に済ませておいて下さい。
定款認証をクリアしないと、登記申請はできません。
決算月
通常は、会社設立日の属する月の前月になります。私の場合は5月2日に設立したので、会計年度は5月~4月となり、決算月は4月になります。
この決算月なんですが、会社の会計を税理士さんにお願いする場合は注意が必要です。一般的に3月決算の会社が多く、その時期は税理士事務所も多忙になるのであえて3月決算は避けた方が税理士さんにお願いし易いという考えもあります。
会計処理のやり方
会計処理も自分でやるのか、税理士さんにお願いするのかを決めておかねばばりません。
問題は決算処理や法人税の申告です。通常の入金処理等は自分でできると思うので、どこまでを税理士さんにお願いするのかを決めておかねばなりません。
資金に余裕があるのなら、全部お願いした方が楽ですね。
私は資金に余裕がないので、全て自分で行う予定です。やった事がないので、ちょっと不安ではありますが・・・。
社会保険手続きのやり方
会社設立後の社会保険の手続きも社会保険労務士さんにお願いした方が確実で簡単です。
私は会計処理と同じく全て自分で申請しました。これは公務員時代にパートの方の手続きを何度かやった事があるからです。
と言っても十年程前の話ですが・・・。プラスして新規適用はやった事ありません・・・。
設立方法
法人の設立方法に関しても、料金はかかりますが専門家に全てをお願いした方が間違いなく簡単確実です。
でも、例に漏れず、私は全て自分で行いました。と言っても、後から説明する無料の会社設立ソフトを利用して設立しました。
事前に準備した方が良い物
次に事前に準備しておいた方が良い物を紹介します。
会社の印鑑
会社名を決めたら、その名前の印鑑を作った方が良いと思います。
個人の印鑑と共用するのもダメではありませんが、できれば分けた方が良いと思います。また、印鑑は材質等によって金額も様々ですが、私はコレを購入しました。
それほど高級な物は必要ないと思ったので、この印鑑セットで充分だと思います。
個人の印鑑証明
株式会社の登記申請時に、代表取締役、取締役、監査役の印鑑証明書(正)の提出が必要となります。
また、マネーフォワード会社設立では定款認証時に発起人(株主)の印鑑証明書データーのアップロードが必要です。
通常なら代表取締役・取締役・監査役=発起人となると思うので、それぞれの印鑑証明書が必要となります。また、イコールでない場合はそれぞれの印鑑証明書が必要です。
ただし、登記申請日から3カ月以内に取得したものとなるので、期限には注意して下さい。
プリンター
私はエプソンの複合機を利用していますが、これで充分だと思います。
写真なんかを大きく印刷しなければ何も問題ないし、複合機なのでスキャナ機能がとても役に立ちます。上記の印鑑証明書のデーターもスキャナで読み込んで簡単にPDFにできるので便利ですよ。
また、後々会計ソフトと連携して領収書なんかもPDFで保存できます。
もちろん、会社設立時の申請書類の印刷にも役に立ちます。
事務用品
私は、朱肉、印マット、ホッチキス、製本テープ(契約書割印用)、スタンプ、パンチを購入しました。
元々あれば、それで構いませんし、もし無くても何とかなります。
でも、あった方が便利ですよ。
CD-R
公証人役場での定款認証時に未使用のCD-Rが1枚必要です。
私がやって良かった事前準備
以上で事前準備はほぼ終わりですが、私がやっておいて良かった事項を紹介します。
認定特定創業支援事業
私は、商工会が実施する特定創業支援事業「ちくしの塾」を受講しました。
これを受講すると商工会から「受講修了証」が発行されます。
この「受講修了証」を持って市町村役場の商工観光課等で申請をすると、数日後に「特定創業支援証明書」が発行されます。
この証明書を法人登記申請時に提出すると、登録免許税が半額となります。
受講に関してですが、本来はどこかの会場に受講者が集合して行うようですが、私が受講した際はコロナ禍だったので、オンラインでの受講でした。講義自体は実施する商工会によって違うと思いますが、4つのテーマがあり、それぞれのテーマが数回に分けて細分化されていました。
この「認定特定創業支援事業」は、ほぼ全ての市町村で行われているようなので、利用しない手はないと思います。
無料の会社設立ソフト
無料の会社設立ソフト選びなんですが、私はマネーフォワード、フリー、弥生会計の3つのソフトを検討しました。
色々調べても、機能面に優劣はほとんどないので、どのソフトをずっと使いたいかで決めました。
私が選んだのは、マネーフォワード会社設立です。
今後会計ソフトを利用するならマネーフォワードが良かったので、これに決まました。
事前準備編まとめ
私が事前準備をした時に株式会社を自分で作るという事をかなり調べました。
でも、合同会社を自分で作った記事や動画はあっても、株式会社に関する事を詳しく説明した記事や動画はありませんでした。大きな流れは違いませんが、細かい所では違う部分もあったので、もし今後株式会社を設立される方の参考になればと思って作りました。
今回は事前準備編なので共通的な事項です。何の会社設立ソフトを利用しても変わらない共通的な部分です。
次回は、マネーフォワード会社設立を使っての定款作成から定款受取までの解説、自分でできる株式会社設立 その2 定款認証編です!
この記事が、少しでも株式会社設立の参考になれば幸いです。
youtube動画を作成しました。興味のある方はご覧下さい。
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