早期退職者募集制度 早期退職の決め手! 退職金は?

 昨年の記事27年間勤務した国家公務員辞めましたで述べたように、令和4年4月1日付で早期退職者募集制度を利用して国家公務員を退職しました。
 理由は色々とあるのですが、この制度に応募して認定を受ければ、退職金で住宅ローン等の残債も何とか返済できることが決め手でした。
 今回はその早期退職者募集制度の仕組みと、認定を受けた場合に退職金がどれくらい増えるのかについて、実例を交えて解説します。

国家公務員の早期退職者募集制度解説

早期退職者募集制度のお金の話

早期退職者募集制度とは

 早期退職者募集制度は、平成25年度に開始された制度です。この制度に応募して認定されると、定年を待たずに特別な「応募認定退職」となります。
 内閣官房の資料によると、全省庁で平成29年分1,472人、平成30年分1,581人、令和元年分1,642人、令和2年分1,601人、令和3年分1,648人が認定を受けています。
 令和3年分の1,648人。この中の1人が私ですね。

制度の対象者(応募資格)

 私の勤務していた省庁では、以下の条件が対象となっていました。

  • 行政職(一)の適用職員
  • 勤務歴20年以上
  • 45歳以上(定年から15年を減じた年齢以上)

 ただし、懲戒処分等を受けた者は認定の対象とならないそうです。
 また、今後「定年延長」が進んだ場合どうなるか調べてみましたが、「早期退職募集に応募し、認定を受けて退職する場合の俸給月額の割増率は、当分の間、現行定年下で対象とされる年齢と割増率を維持する。(60歳~64歳の者が応募認定退職する場合は俸給月額は割増されない。)」と記載されているので、当面の間は条件が変わらないようです。

認定されると何が変わる?(メリット)

 この制度の最大のメリットは、退職金の大幅な増額です。

  1. 定年退職扱いになる
    認定を受けずに辞めると「自己都合退職」となり支給率が低いですが、認定されると「定年退職」と同じ高い支給率が適用されます。
  2. 俸給月額の加算(割増)
    退職手当計算の基礎となる俸給月額が、定年前1年につき3%加算されます。

 例えば定年前10年で退職する場合、通常なら自己都合の低い率になるところが、定年退職の高い率で計算され、さらに元となる給料が30%増量されて計算されるイメージです。
 退職しようと思っている人にとっては、金銭的に非常に魅力的な制度です。

退職までの流れ(スケジュール)

 私のケースでの時系列は以下の通りでした。

10月頃:募集文書の配布
対象者に対して人事係から配布されます。例年よりも1~2か月遅かった記憶があります。
11月:応募
迷うことなく応募用紙に記入して人事担当に提出しました。(上司には6月の時点で報告済み)
年末:認定通知
なかなか通知が来ず不安になりましたが、年末ギリギリに通知が来ました。
後日:退職日決定通知
4月1日付での退職という通知がきました。

 4月1日の退職日。27年前に初めて勤務した場所と同じ場所での退職となりました。
 入ったその日に辞めようと思った職場ですが、あれから良い事も悪い事も色々とありました。本当に寂しい気持ちでしたが、前を向いて進んで行くしかありませんね!

【シミュレーション】退職金はいくら違う?

 それでは、「自己都合退職」と「早期退職募集制度(認定退職)」で退職金にどれくらいの差が出るのか、実例で比較してみたいと思います。

【試算の前提条件】
・20歳から勤務し、退職時年齢は50歳(定年年齢60歳)
・退職時の勤務年数は30年
・退職時の給与:行政職(一)4級40号俸(俸給月額342,700円)
・行政職(一)4級を5年以上経験

退職手当の比較表

項目 通常の退職
(自己都合)
早期退職制度
(認定・定年扱)
(調整)俸給月額 342,700円 445,510円
退職手当支給率 34.7355% 40.80375%
退職手当基本額 11,903,855円 18,178,478円
退職手当調整額 1,626,000円 1,626,000円
退職手当合計 13,529,855円 19,804,478円

 なんと、その差は 6,274,623円!
 約630万円もの差が出ました。これは非常に大きいですね。

計算の詳細解説

調整俸給月額
認定を受けると、定年前1年につき3%割り増しとなります。定年10年前なので30%増で計算します。
342,700円 × 1.3 = 445,510円
退職手当支給率
自己都合(34.7355%)に対し、認定を受けると「25年以上定年・応募認定(40.80375%)」という高い率が適用されます。
退職手当調整額
在職期間中の階級に応じた加算額です。今回は4級に5年以上なので、最大額(27,100円×60月=1,626,000円)が加算されます。

退職金にかかる税金と手取り額

 退職金は金額が大きいですが、税制優遇されており「分離課税」となります。給与所得とは分けて計算されるため、翌年の住民税等が跳ね上がることはありません。

税金計算の流れ

  1. 退職金から「退職所得控除」を引く
  2. その金額を「2分の1」にする(これが課税対象額)
  3. 課税対象額に対して「所得税」「地方税(住民税)」を計算する

手取り額の比較シミュレーション

項目 通常の退職 早期退職制度
退職手当合計額 13,529,855円 19,804,478円
退職所得控除
(勤続30年)
15,000,000円 15,000,000円
課税対象額 0円 2,402,000円
税金合計
(所得税+住民税)
0円 385,896円
手取り額 13,529,855円 19,418,582円

 通常の退職の場合は退職金が控除額(1500万円)以下なので税金はかかりません。
 一方、制度を利用して増額された場合は税金が約38万円かかりますが、それでも手取り額の差は 5,888,727円 となります。

(参考)退職所得控除の計算式

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

 今回は勤続30年なので、800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円となります。

まとめ

 以上、早期退職者募集制度の概要と、認定された場合の退職金の違いについて解説しました。

 一概に早期退職者募集制度があるから早く退職した方が良いという訳ではありません。定年まで勤務した方が生涯賃金や年金受給額の面で安定しているのは間違いありません。
 ただ、私のように「元々早めに退職したい」と考えている人にとっては、この制度を利用しない手はありません。

 私はこの制度を利用して退職して本当に良かったと思っています。もし早期退職を考えているのなら、自己都合で辞める前に、必ずこの制度の募集時期を確認し、応募することをお勧めします。
 退職金課税の見直し議論などもありますので、制度が有利なうちに動くのも一つの選択肢かもしれません。

 最後になりますが、早期退職を考えている方の参考になれば幸いです。

 Youtube動画でも解説しています。興味のある方はご覧下さい。

 

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