会社を設立して 社会保険料削減!

 前回は早期退職後の健康保険と年金保険について書きましたが、今回は私が実際に行った会社を設立して社会保険料を削減する方法について説明したいと思います。
socialinsurancereduction

スポンサーリンク

早期退職後の健康保険と年金保険

 早期退職後の健康保険と年金保険の加入の仕方は、一番良いのは配偶者の扶養に入ることです。
 しかし配偶者が社会保険に未加入の場合は、扶養自体が無理ですよね。その場合の選択肢としては国民健康保険と国民年金に入ることになると思うのですが、割高な保険料がネックとなります。今まで勤めていた職場に任意継続組合員制度がある場合には、退職した年には任意継続組合員に入り、退職の翌年から国民健康保険に入るのが良い方法だと思います。詳しくは前回の早期退職後の健康保険と年金保険をご覧下さい。

会社を設立して社会保険料削減

 私も最初の1カ月は任意継続組合員となったのですが、2か月目からは別の方法で社会保険に加入しました。
 それは株式会社を設立し、代表取締役となって社会保険に加入することです。

役員報酬はいくらがいいのか?

 社会保険の保険料は標準報酬を元に決定されます。
 その標準報酬は、月々の役員報酬を元に計算されます。役員報酬とは役員に支払われる給与のことです。

 役員報酬は、一度決定すると1年間同じ金額を払い続ける事が基本です。(やむを得ない理由がある場合には変更することができます。)
 私はその役員報酬を月額45,000円としました。それには下記のような理由があります。

社会保険料の最安等級

 社会保険料をなるべく抑える為、社会保険の最安等級となる標準報酬1等級の範囲内に役員報酬を設定する必要がありました。
 健康保険料の最安等級は63,000円未満、厚生年金保険料うの最安等級は93,000円未満なので45,000円ならその範囲内に収まります。

税金がかからない

 なるべく税金もかからない金額にしようと思いました。
 給与所得者は年末調整や確定申告により所得税が確定されます。その年末調整や確定申告の際、年収から最初に給与所得控除を差し引き、その後に基礎控除や配偶者控除を差し引くことになります。ちなみに税金の対象となる年収に通勤手当は含まれません
 役員報酬が月額45,000円とすると年収は540,000円になります。その年収から給与所得控除を差し引きます。給与所得控除は550,000円です。結果はマイナスとなるので、基礎控除等を引くこともなく給与所得金額は0円となります。

 また、住民税もこの給与所得を元に算出されます。所得が0円なので住民税も0円なのですが、私の住んでいる福岡県筑紫野市では下記に該当する場合には住民税の所得割、均等割共に非課税となります。
 ・ 扶養親族がいない場合
   合計所得金額 ≦ 415,000円
 ・ 扶養親族(16歳未満の扶養親族も含む)がいる場合
   合計所得金額 ≦ 315,000×(1+扶養人数)+289,000円

 また、下記に該当する場合には所得割のみ非課税となります。
 ・ 扶養親族がいない場合
   総所得金額等 ≦ 450,000円
 ・ 扶養親族(16歳未満の扶養親族も含む)がいる人
   総所得金額等 ≦ 350,000×(1+扶養人数)+420,000円

 本当に税金がかからないの?と思われるかもしれませんが、実際に私が退職した年の年末調整では所得税は0円でした。
 住民税に関しては、4月に退職したので3月までの前職での所得があったため完全な非課税ではありませんが、上記の所得割のみ非課税の対象となったため、均等割のみの5,500円でした。5,500円といっても年額がですよ!今まで払ってきた地方税額とは驚くほど違う金額でした。

会社への負担が少ない

 会社への負担が少ない事も重要です。会社にとっては役員報酬の45,000円だけでなく、プラスして社会保険の事業主負担分の約11,600円も支払う必要があるからですね。
 せっかく頑張って設立した会社がすぐに倒産してしまっては大変です。人件費って大きいですもんね~。
 それだけではなく、設立の為に必要な費用もあるし、毎年の法人税や法人住民税もちゃんと考えておかないといけません。
 設立当初の役員報酬は45,000円といわず、極力低く設定した方が良いと思います。何ならもっと低く設定して役員報酬15,000円でもやっていけます。ちょっと格好悪いとは思いますが・・・。

社会保険料の計算

 それでは役員報酬45,000円を元に社会保険料を計算ると下の表の金額になります。
社会保険料
 それぞれを解説します。

健康保険料

 それでは健康保険料を計算します。早期退職者は40歳以上だと思うので介護保険に該当する場合の計算です。
 標準報酬58,000円に介護保険該当者の保険料率6.09%(介護保険のみは0.91%)を掛けます。
 58,000円✕6.09%=3,532円
 次に標準報酬58,000円に健康保険のみの保険料率5.18%を掛けます。
 58,000円✕5.18%=3,004円
 この3,004円が健康保険料月額です。
 次に介護保険料該当者の金額から健康保険料のみの金額を引きます。
 3,532円-3,004円=528円
 これが介護保険料の月額です。それぞれ12を掛けると年額が算出されます。
 ・ 健康保険料
   3,004円✕12月=36,048円
 ・ 介護保険料
   528円✕12月=6,336円

厚生年金保険料

 次に厚生年金保険料を計算します。厚生年金分の標準報酬は88,000円です。
 標準報酬88,000円に厚生年金保険料率9.15%を掛けます。
 88,000円✕9.15%=8,052円
 この8,052円が厚生年金保険料の月額です。これに12を掛けると年額が算出されます。
 8,052円✕12月=96,624円

合計

 今までに計算した健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を合計します。
 ・ 社会保険料月額
   3,004円+528円+8,052円=11,584円
 ・ 社会保険料年額
   36,048円+6,336円+96,624円=139,008円

保険料の比較

 ここで国民健康保険、任意継続組合員、社会保険の保険料を下の表にまとめてみました。
保険料比較

 国民健康保険は二重線で取消してある数字が退職した年(前年の所得が400万円)の金額で、赤字が退職した翌年(前年の所得が100万円)の金額です。
 任意継続組合員は2年間の金額は変わりません。
 社会保険は二重線で取消してある数字が標準報酬30万円の金額で、赤字が健康保険標準報酬58,000円、厚生年金標準報酬88,000円(役員報酬45,000円)の場合の金額です。
 断然社会保険が安いですよね~。会社負担分を含めても社会保険が安いです。

会社設立のデメリット

 確かに社会保険料は安いのですが、それだけで安易に会派を設立するのは危険です。むしろそれだけを考えて飛びつくのは止めておいた方が良いと思います。
 会社を設立すると下記のようなデメリットもあるからです。

設立時の必要経費と労力がかかる

 一般的に会社を設立するとなると株式会社か合同会社になると思いますので、それぞれの設立に必要な費用を下の表にまとめています。
 私は頑張って全て自分で手続きをしたのですが、専門の先生にお願いするとなるとそれなりにお金が必要となります。
設立費用

資本金

 どちらも資本金は1円から設立できるとはいえ、ある程度の金額を設定した方が良いと思います。やはり100万円ぐらいが妥当ではないでしょうか。

社印代

 社印代はネットで購入すれば3~4千円で購入することができます。

定款収入印紙代

 紙の定款には収入印紙代が必要ですが、最近は電子定款が主流だと思います。電子定款にすれば収入印紙代は無料となります。

定款認証手数料

 合同会社では必要ありませんが、株式会社では定款認証手数料が必要となります。
 資本金の額により下記のとおりとなっています。
 ・ 100万円未満
   3万円
 ・ 100万円~300万円未満
   4万円
 ・ それ以外
   5万円

定款の謄本代

 株式会社は謄本代の2,000円が必要となりますが、合同会社は特に必要ありません。

登録免許税

 どちらも資本金の額により決定されますが、株式会社では最低15万円、合同会社では最低6万円となっています。

 この登録免許税に関しては、自治体の創業支援制度により条件はありますが半額は負担してもらえます。
 また福岡市など特別な自治体では残りの半分も支援してもらえるようです。登録免許税が0円なんて羨ましいですよね。

毎年必要な経費がある

法人税

 会社の決算によりその年度の利益が確定しますが、毎年その利益に応じて法人税を支払う必要があります。これは個人の所得税と同じですよね。
 もちろん利益が無い場合には支払う必要はありません。

消費税

 課税対象事業者は消費税を支払う必要があります。

法人住民税

 法人の住民税は、利益が無かったとしても毎年支払う必要があります。
 私の住んでいる福岡県筑紫野市では、年額81,000円となっています。
 利益が無ければ免除して欲しいですよね~。

まとめ

 この会社を設立して社会保険を削減する方法は誰にでも簡単にできるという訳ではありませんが、私のように元々会社を設立して運営してみたかった人や、元々やりたい事がありそれを事業としてやっていこうと思っている人にとってはお勧めの方法です。
 更にお勧めの人は、賃貸料収入等や不労所得がある人ですね。何故なら、国民健康保険と国民年金に入っていれば所得の合計で保険料を計算するので、上限はありますが所得が増えれば増えるほど保険料は上がります。会社を作って社会保険に入っていれば保険料は給与収入による標準報酬だけで計算されるので、標準報酬さえ上がらなければ他の所得が大きく増えても保険料は上がりません。
 また、法人の役員と個人事業主の両方を行っている場合にも、同じように個人事業主の収入が増えても社会保険の保険料は会社での標準報酬だけを元に計算されるので保険料は上がりません。

 上記のように会社を設立して社会保険料を削減するメリットは大きいと思います。
 しかし会社を設立して維持していくのはとても大変な事だと思います。専門的な知識や絶え間ない努力と労力も必要となります。
 私自身、誰にも頼らずに会社を自分で設立し、その後の税務署や年金事務所等への各種届出も全て自分で行いました。決算も独力で行い申告も税務署に自分で行きました。
 だからといってその後の会社の運営が上手くいく訳ではありません。
 ホームページも自分で作成しECサイトも作成したのですが、それで簡単に売り上げが上がる訳ではありません。
 でも、これからも頑張って会社を維持していこうと思ってます!

 早期退職をして会社を作ってみようかな?と思われている方はその後のメリット・デメリットをよく考えて決断して欲しいと思います。
 少しでもそう思っている方の参考になれば幸いです。

 どのような会社のホームページを作ったのか?興味のある方はご覧下さい。
 株式会社テックM

 youtube動画を作成しました。興味のある方はご覧下さい。
socialinsurancereduction

にほんブログ村 アウトドアブログ キャンプへにほんブログ村
にほんブログ村 写真ブログ 九州風景写真へ
にほんブログ村
にほんブログ村 旅行ブログ 車中泊の旅へ
にほんブログ村

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました